マクドナルドこそ僕の学校だった

【インタビュー】
――『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』は、鴨頭さんの初めての本です。
鴨頭 二〇一〇年にマクドナルドを離れてから、「絶対に本を書こう」と決めていました。サービス業は、人々に幸福をもたらしうる素晴らしい仕事であること、人を幸福にすることで自分自身も輝けることをみんなに分かって欲しい。それを理屈で言っても説得力がないので、いやでも分かって貰えるように私の体験を中心に書きました。
――大学入学のために上京して以降、アルバイトとして四年、正社員として二十一年もマクドナルドにお勤めになりました。何がそんなに魅力的だったのですか?
鴨頭 マクドナルドは人の可能性に投資する会社で、成長を促すように組織がデザインされているんです。アルバイトはCクルーという一番下のランクからスタートしますが、僕がマクドナルドに入った頃はいかにも見習いっぽい白い帽子を被っていた。仕事で成長すればBクルーになって赤い帽子を被れますし、Bクルーになったらさらに上のAクルーやスウィングマネージャーを目指したいという気持ちが自然に生まれてくる。仕事を通じて、自分が「承認」される機会が頻繁にあるんです。これは気持ちいいですよ。
――シフト管理を担当するスウィングマネージャーになれば、アルバイトであっても経営を学ぶ機会が貰えるんですよね。これも驚きでした。
鴨頭 マクドナルドの社内教育機関は「ハンバーガー大学」と呼ばれています。これはすごいですよ。普通ならお金払って教えて貰うような内容が、時給を貰って仕事として聞けるんですから。

――マクドナルドというとすぐ「マニュアル主義」ということが、やや否定的なニュアンスで語られることが多いですが、「マニュアル」の意味はどこにあるのですか。
鴨頭 マクドナルドを動かしているスタッフの九割以上はアルバイトなんです。彼らに「君たち、自由にやっていいよ!」と言ったところで、戸惑うだけでしょう。マニュアルはあくまで、彼らに安心して楽しく働いて貰うためのツールです。ツールですから、絶対ではありません。そのツールを踏まえて、どれだけお客様に喜んで貰えるか、店の売上げに貢献できるかは、それぞれのクルーにかかっています。
――「名ばかり店長」騒動なんてのもありましたね。
鴨頭 あの頃は、私は地域全体の店舗を見る「スーパーバイザー」という役職にあったのですが、報道を見ていて腹がたちました。私は「日本一のマクドナルド・バカ」を自称していますが、他の社員や店長の多くも、自分の店とマクドナルドのことを心から愛しています。だから、実態を見れば「サービス残業」なのかもしれませんが、それを不満に思う気持ちなんてぜんぜん無かった。むしろ、「こんなに楽しく働けてラッキー!」と思っていたくらいです。
でも、時代がそれを許さなくなってきたのも事実です。その後、マクドナルドは全社的に残業の削減に取り組み、今では残業はかつての十分の一以下に減りました。子育てしながら店長をしている女性社員も結構いますよ。
――三十二歳の時、新規開業の店舗の店長として「売上げ伸び率日本一、顧客満足度日本一、従業員満足度日本一」の三冠を達成して「最優秀店長」に選ばれています。
鴨頭 その前の店で店長をしていた時は、スタッフを信用できず、店の雰囲気も店舗の成績も最悪でした。新しい店に赴任した時は、「とにかくスタッフを信じよう。まずいこともあるだろうが、その時点の彼らではなく、これから伸びていく未来の彼らを信じよう」と自分に言い聞かせました。すると、彼らが最高の能力を発揮して、店の雰囲気も最高なら売上げも伸びていくという、良い循環が作れたのです。
――それにしても、熱いエピソード満載ですね。
鴨頭 今はだいぶ洗練された会社になっていますけど、私が現場にいた頃のマクドナルドはベンチャーそのものでした。社員にも熱い人が多かった。高校時代は甲子園を目指して野球ばかりしていた自分には、ぴったりの環境だったのかも知れません。

(かもがしら・よしひと 元「日本マクドナルド」社員)
波 2012年10月号より
[鴨頭嘉人『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』刊行記念特集]

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☆ 鴨頭嘉人プロフィール ☆ YouTube講演家 鴨頭嘉人 株式会社東京カモガシラランド 代表取締役社長 高校卒業後、東京に引越し19歳で日本マクドナルドにアルバイトとして入社 4年間アルバイトを経験した後、23歳で正社員として入社。 30歳で店長に昇進。32歳の時にはマクドナルド3300店舗中、 お客様満足度日本一、従 業員満足度日本一、 セールス伸び率日本一を獲得し最優秀店長で表彰される。 その後も 最優秀コンサルタント。 米国プレジデントアワード、米国サークルオブエクセレンスと国内のみならず全世界のマクドナルド表彰も全て受賞する功績を残す。 2010年に独立。現在は組織構築・人材育成・セールス獲得についての講演・研修を行っている日本一熱い想いを伝える「炎の講演家」として活躍する傍、株式会社3社の経営とNPO法人1社の経営、出版社も運営。 著者としてもリーダー・経営者向け書籍を中心に12冊(海外2冊)を出版する作家としても活躍。 2013年、伝わるコミュニケーションスキル・伝えるスピーチスキルを身につける「話し方の学校」を設立。現在7,000名以上に【目的が達成できる伝達力】を教えている。2016年、出版社「かも出版」を設立。2018年、プロ講演家、セミナー講師として自ら成果の出た「自分の売り方」を体系化し、講師業に特化した「プロ講師の学校」を開校。 有料オンラインサロン人気ランキング日本第5位 良い情報を撒き散らす仲間を増やすコミュニティ「鴨Tube研究所」、日本第6位 良質で最新のビジネス情報を共有できるコミュニティ「鴨Biz」を主宰。 また、【良い情報を撒き散らす】社会変革のリーダーとして発信しているYouTube(通称 鴨Tube)は、登録者59万人を突破。講演家、自己啓発部門では日本一の影響力を発揮している。 世の中のサービスパーソンを元気にする活動『ハッピーマイレージ』の創始者。