「売り上げがどうやったらあがるのか」スタッフ全員が主体的に考えるようになった
みんな考えるんです。
どうやったら売上が上がるか。
例えば、「ドリンクおかわり自由」ってやりました。
大きな看板があります。
駐車場に、マクドナルドって書かれているあれを外して、「ドリンクおかわり自由」って張り替えたんです。
なぜならマクドナルド誰も知らないから。
でも「ドリンクおかわり自由」なら弘前のお客さんわかるんです、主婦です主婦。
主婦の人はお得なところに対するアンテナびんびん立ってますから、すぐに気がついてくれる。
そして、主婦の人が客席に座った瞬間に、アルバイトスタッフはみんなアタックするんです、そのお客様に。
「お客様ありがとうございます。ホットコーヒーですね。アイスコーヒーでも大丈夫なんです。おかわりって。しかもドリンクメニューがこんなにたくさんあるんで、とにっかくお代わりできるんで全部飲むまで帰らないでください!」
ってやり始めたですよ。
なぜならこのキャンペーンの目的は、店舗の滞在時間を延ばすことなんです。ガラガラだったから。
客席ガラガラの飲食店で入りづらいんですよ。
だから、お客様ある程度いないと売り上げ上がんないんですよ。
だから売れない時間帯に、「ドリンクおかわり自由」ってキャンペーンをやって、とにかく「帰らないで帰らないで帰らないで」ってやったんですよ。
そしたら何が起きたか、口コミがおきたんです、弘前中で。
なんていう口コミか。
「あの店のアルバイトさんすごいよ、1回会ってみたほうがいいよ」っていう口コミが起きたんです。
「ドリンクおかわり自由」じゃなかった、あの口コミは。
今でもマクドナルドが売り上げを上げるのに苦労してる、平日の午後2時から5時の時間帯。
弘前中の主婦の方が、その口コミを聞いて店内でドリンクを注文して座って、「今日はどんなアルバイトさんが声かけてくるのかしら」ってワクワクする、マクドナルドの誕生です。
アルバイトスタッフさんだから、考えられたキャンペーンでした。
「高校生」「主婦」。その立場だからこそ思いつくキャンペーンの数々が売り上げを伸ばした!
他にもいっぱいありましたよ。
一番強烈だったのはねー、主婦の人が僕に聞いてきたんですよ主婦の人。
「店長、弘前の主婦の方って何曜日に卵をお買い上げになっているかご存じですか?」って。
は?卵なんて何曜日でも買えるでしょと、僕独身だったし思っていました。
ところが当時の弘前のお客様、主婦の方は皆さん月曜日に卵を買う風習がありました。
なぜならば、弘前中のスーパーマーケットが月曜日になるとチラシを折り込んで卵の値段のディスカウントでお客さんを引っ張ってくるっていう戦略をみんなやってたからです。
その主婦の方は言います。
「だからうちのお店に、今まで来てくれた主婦の人で、一番うちのお店で好きなメニュー、てりやきマックバーガーを月曜日だけ半額というキャンペーンを長期的に打ち続ければ、弘前中の主婦の方は『あ、月曜日だからスーパーに行って卵を買ったら、その後あのマクドナルドに立ち寄ってテリヤキバーガーを買って帰る』という習慣がつくんじゃないですか。主婦の方は習慣で行動を決めていらっしゃいますから」
つったんですよ。
やりました。
何が起きたか。
月曜日の売り上げが6倍になっちゃった。
てりやきの販売数じゃないですよ、売上ですよ。
日曜日より売れちゃったんです。
大行列。
本社にバレて怒られました。
お客さん、普通にレジに並んでるじゃないですか。
「お客様ご注文どうぞ」っていうと、月曜日はこう言うんですよ。
「テリヤキマックバーガー14個ください」とかいって、弘前って3世帯の住宅がいっぱいあるんですよ。
おじいちゃんおばあちゃんとお孫さんね、家族多い。
しかも、主婦の方はお得な時にまとめ買いをしなければならないというDNAが組み込まれてますから、月曜日に家族の人数分の1週間分のてりやきマックバーガーをまとめ買いしてチンして食べてたんですよ。
こんなの僕には考えつかない。
アルバイトスタッフさんだから思い付くんです。
僕だって、店長だし、社員だから一生懸命キャンペーン考えましたよ。
一応僕も考えて、キャンペーンもやるんですよ、アルバイトもやるけど。
でも結論だけ言うとですね、僕の考えたキャンペーンは全部滑ります。
全然当たんないですよ。
なんでかっていうと、僕はで東京とか埼玉とかで社員やってたんで、関東近郊のお客様の情報を持ってるけど、弘前のお客様がどんな気持ちでマクドナルドを利用してるか全くわかってなかった。
でもアルバイトスタッフさん、みんな知ってたんです。