「人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった」の内容を少〜しだけ紹介しちゃいますっ!
『肩書きではなく、仕事の価値は自分が決める』
〜その3〜
マクドナルドには製造を正確に覚えやすくするためのSOC(ステーション・オブザベーション・チェックリスト)というマニュアルがあり、“見よう見まねで自分で仕事を覚えなさい”というような風潮とは正反対の、“誰でも素早く正しいオペレーションを覚えて、全国どこでも同じ基準のハンバーガーを提供できる仕組み”が確立され活用されていました。全国の3,300店舗が1店舗も余すことなく同じツールを完璧に使いこなしているところが、マクドナルドの絶大な強みの一つなのです。そのため、今までハンバーガーなるものを一度も食べたことがない僕のようなアルバイトが、初日からハンバーガーの製造に携われるようになってしまうのです。
当時のマクドナルドのオペレーション・システムは、現在全店で導入されている「メイドフォーユー」というお客さまのご注文が入ってから一つずつつくるシステムではなく、一度に6個から12個程度のハンバーガーを時間帯のセールスに応じてつくり置きして、トランスファービンと呼ばれる完成したバーガーを保温するスペースに10分間ストックしておくオペレーション・システムでした。
プロダクションコーラーと呼ばれるポジションにはマネージャーが配置され、30分間の過去のレートと今日のデータを比較しながら即時に予想を立てオーダーを厨房にコールして命令を下すという、司令塔のような花形ポジションがありました。
この司令塔からのコールに従って厨房内の各ポジションの担当者がバンズ(パン)を焼成し、そこにマスタードやケチャップ、オニオンなどをドレス(バンズに載せる)して、最後にミートやフライポーション(揚げ物の事でフィレオフィッシュのフライなどのこと)を載せたら、完成品として先ほどのプロダクションコーラーに「バーガーズアップ!」と商品を渡す。
プロダクションコーラーはこの完成品の基準がお客さまに販売する為のマクドナルド基準に達しているかどうかを厳しくチェックして、OKであればラップをして晴れてお客さまの手に渡ることになる。
僕のアルバイト初日は、マクドナルドの優れたトレーニング・シスムのおかげで、何とかハンバーガーとチーズバーガーのドレス(マスタードとケチャップとオニオンをバンズに載せる担当)だけは出来るようになりました。
僕はトレーナーの川内くんが他のオーダーのフォローにいってしまった瞬間でも自信満々でハンバーガーのドレスを完成させ、諸先輩方に負けじと大きな声で「バーガーズアップ!!」と12個のバーガーをプロダクションコーラーに差し出しました。
…と、その直後でした。
目にも留まらぬ速さで僕が出したバーガー2個が、私に向かって飛んできたのです。
そして、怒号が響きました。
「誰だ!こんなバーガー出した奴は!こんな仕事するなら帰れっ!!」
<〜その4〜へ続きます>