お客様の立場になると言葉の主語が変わる!!

お客様に伝わるのは
『言葉より、想い』

 

今回は
マクドナルド時代のエピソードをご紹介させていただきたいと思います!!

それでは!

行かせていただきます!!

 

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マクドナルド102弘前店

国道102号線沿いに1996年12月にオープンした小さなドライブスルー店舗です。

僕は店長になって2店舗目・・・店長として初めて新店のオープンを任され
気力200%の状態で毎日燃えるようなハートで店舗に立っていました!!

 

中山さんは当時高校1年生。
もちろんアルバイト自体が初めてで、最初はちょっと大人しい印象で
話をする時にもあまり目を合わせない感じの子でした。

 

働き始めた当初、お店はオープンしたばかりでみんな仕事に慣れておらず
ピーク時間帯は毎回戦場のようでした!!

そんな中、中山さんはドライブスルーのランナー(取り揃えをするポジション)に入ると
よく入れ忘れをしてしまうクルーでした・・・。

 

その内、周囲のマネージャークラスの人間から僕の所に意見がくるようになります・・・。

「中山さんはドライブルーにポジショニングするのはやめましょう。」

「中山さんはちょっとマクドナルドに向いていないと思います。」
そんな意見を聞きながら、僕の中ではなぜかしっくりこないものがありました・・・。

「彼女が向いていないとは思えない・・・」

根拠はありませんが、そんな直感です。

 

しかし、店長としてそのままにしておく事はできません・・・。

彼女を自分の目で再度、注意深く見てみる事にしました。

そこで、自分自身が気づいていなかった!!

衝撃的な出来事が起きるのです!!

 
その日は、彼女がドライブスルーのキャッシャー(お会計をするポジション)にいました。

確か、2月ぐらいの・・・
まだまだ弘前ではマイナスの気温での営業時間帯だったと思います。

あるお客様が、ドライブスルーでホットコーヒーをお買い上げになりました。
お会計が終了し、ホットコーヒーをお客様に手渡しするその時・・・

中山さんはお客様にこう言ったのです・・・

 

「お客様、温かい内にお召し上がりくださいね」
「・・・!!」

 

僕は聞き慣れないその言葉に・・・えもいわれぬ違和感を感じました!!
なぜなら・・・そんな言い方を教えた事がないからです!!

 

マクドナルドでは通常(もしくは僕が店長の店では)
ホットコーヒーをお客様にお渡しする時には

「お気をつけてお召し上がりください」

こう言って渡すようにトレーニングしていたからです。
知っている方もいらっしゃるかも知れませんが、
裁判大国アメリカではドライブスルーでホットコーヒーを飲もうとして
火傷した女性に対し裁判で多額の賠償金を支払う事例もあり、
そのようなトレーニングをしていたのです。
ところが、彼女の言い回しはまるで違っていたのです!!

「お客様、温かい内にお召し上がりくださいね」

 

 

僕はすぐに彼女に聞きました・・・。

「その言い方・・・誰に教わったの?」
「え・・・誰にも教わってません・・・。」
「そうなんだ・・・。
 じゃあ何で温かい内にお召し上がりくださいって言ってるの?」
「すいません・・・」
彼女は店長に”教わってもいない言い方”を勝手にしている事を
咎められていると思ったのでしょう。

申し訳なさそうに謝りながら、
こう僕に話してくれたのです・・・。

 

「こんな寒い日に、
 わざわざウチの店に来てくれてホットコーヒーをご注文されたのは・・・

 お客様はきっと、
 身体を温めたいと思ってご注文されたんじゃないかと思ったので・・・」

 

彼女は申し訳なさそうにそう言ったのです!!

 

 

僕は、心の底から恥ずかしくなりました!!

本当にお客様の立場に立って働いていたのは
彼女の方だった事に今まで気が付いていなかった!!

 
これは、決してちょっとした違いではありません!!

決定的な違いです!!

根本的な視点の違いなのです!!

 
「お気をつけてお召し上がりください」

この言葉の主語は、一見お客様であるかのように聞こえます。

しかし、お客様が火傷をしてクレームにならないようにという
”守りの気持ち”が含まれていたんだと気付かされたのです!!
「いやいや、ホットコーヒーは熱いのだからそれは当然のケアでしょう」

そんな風に言う人もいるかもしれませんが、それは違います!!
だって、ホットコーヒーですよ!!

例えば、『マックパイ』みたいな新商品があって、
それをお客様が初めてご購入された時に

「お気をつけてお召し上がりください」なら解ります・・・。

ホットコーヒーが熱くて気をつけて飲まなければ火傷する
可能性があるくらいお客様はわかってます。

それをわざわざ、従業員に教育して「言わせる」のは
自分たちのリスク回避であると思うのです!!

 

 

「お客様、温かい内にお召し上がりくださいね」

この言葉の主語は
紛れもなくお客様だと思います。

 

「こんな寒い日に、
 わざわざウチの店に来てくれてホットコーヒーをご注文されたのは・・・

 お客様はきっと身体を温めたいと思って
 ご注文されたんじゃないかと思ったので・・・」
いかがでしょう?!

 
まさしく、彼女は・・・
『お客様の一日に想いを馳せて』
『お客様の気持ちに想像力を働かせて』
”自分の言葉” で伝えていたのです!!

 

 

お客様に伝わるのは

『言葉より、想い』

本当のパーソナルサービスはそこに鍵があると思うのです!!

 

 
『お客様の立場に立つと言葉の主語が変わる!!』

僕は、この時・・・

初めて学びました!!

 

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その瞬間から現在の14年間

・・・自分が働いている時も、お客様の立場でいる時にも

『その言葉の主語はお客様か?!』

それを考える事が習慣になりました!!

 

当時15歳の中山さんに、
僕はサービスについての素晴らしい視点を教えていただきました!!

本当に感謝しています!!

ありがとう!!

 
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彼女はその後、どんどん素晴らしいパフォーマンスを発揮し

このお店を日本一のお店にする
大きな原動力となっていきます!!

このお話はまた別の機会に
お伝えさせていただこうと思っています!!

 

 

いかがだったでしょうか?!
『お客様の立場に立つと言葉の主語が変わる!!』

 

みなさんも意識的になってみてください!!
言葉が変われば行動も変わります!!

 
サービスの型を改善するよりも
『視点を整える事』
それが、サービスレベルの向上にまっすぐ繋がっていくと思いますよ!!

 

ABOUTこの記事をかいた人

講演家、YouTuber。日本マクドナルドでの勤務を経て、2010年独立。人材育成やマネジメント、リーダーシップについての講演・研修を熱い想いで行う「炎の講演家」として活躍。これらを記した著書も多数。YouTubeチャンネル登録者数100万人以上、再生回数2億回以上を数える。